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クラウド化への潮流

 クラウドというワードが世の中で聞かれ始めてから久しい。
過去、企業のITは自社内でサーバーやアプリを運営していたが、クラウド化にともないWeb上のサービスとしてインターネット越しに利用されるようになってきた。そして、勢いは大企業のみならず、中堅・中小企業も含め波が広がり今後もその流れは続いていく。

パブリッククラウド市場予測

 クラウドといっても大手プラットフォーマーがデータセンターを運営し、その上でリソースを間借りして利用するパブリッククラウド型と、ハードなどの物理的な環境自体を自社で用意するプライベートクラウド型がある。なお、プライベートクラウドといっても、目的は運用の効率化であり、セキュリティ面やパフォーマンス面が担保されればよく、自社内で運用することは必須としない。つまり、プライベートクラウドも、プロバイダーはパブリッククラウドと同様に大手プラットフォーマーが担うことが多い。

 以下は、世界のパブリッククラウドの売上予測である。

■世界のパブリッククラウド市場の売上推移と予測:

(引用)「令和5年度 情報通信白書」(総務省)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/pdf/n4800000.pdf

 市場全体として、堅調に推移する予測である。
ちなみにIaaS、CaaS、PaaS、SaaSについてなじみのない方もいると思うので、Chat GPTの説明を以下転記する。

 堅調に推移する理由として、AIを用いたアプリケーション市場の加速からSaaSが伸び、それに伴いPaaS、CaaS、IaaSも伸びるという構図であるためである。ちなみに、IaaSについては、以前から述べているデータセンターのことと思っていただいて差し支えない。

 以下は、日本の予測であるが、同様の予測傾向となっている。

(引用)「令和5年度 情報通信白書」(総務省)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/pdf/n4800000.pdf

海外プラットフォーマーの寡占状態

 以下はパブリッククラウドのプラットフォーマーの内訳である。

■パブリッククラウドのプロバイダー内訳

(引用)「令和5年度 情報通信白書」(総務省)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/pdf/n4800000.pdf

 ここからわかる点として、GAFAMが主導権を握っている状態である。
また、ITにおける川上から川下をIaaS→CaaS→PaaS→SaaSというならば、これら大手が川上から川下まで担っている状態である。「範囲の経済」ではないが、ハード周りのIaaSから、そこに搭載されるCaaSやPaaSであるサーバー類、SaaSであるアプリケーション/サービスを一貫してカバーしている。それをサブスクリプション型でまとめて提供し、性能拡張(スケールアウト)も容易に行えることでユーザーへの利便性を提供し囲い込みを行っている

日本におけるIT資金の海外流出

 以前の記事にも挙げたが、日本のサービス収支はデジタル関連項目のマイナスが拡大している。

 つまり、今回取り上げたパブリッククラウドの拡大に伴い、海外への支払いコストが増加することを示している。

 私も大手の企業のシステム化を支援しているが、基本的にどこの企業でもクラウド化と言ったらAmazon「AWS」かMicrosoftの「AZURE」が選択肢に挙がる。大手になるにしたがいこの傾向はさらに強くなる。これは、半分「長いものに巻かれろ」的な風潮もある。「みんなでAWSを採用すれば怖くない」、である。それは良くないと思う。

国産化に向けた課題

 今後、私としては中小を中心にIT化を支援していくことを加速していくつもりである。
上記で提起した海外大手サービスの利用について、必ずしも否定するわけではない。
当然、そこにはQCDにおけるメリットがあるため採用される訳であり、正当な評価のもと採用される分には何ら問題はない。
 
 基本的に中小企業への支援において、スモールスタートという考え方が多く、SaaS > PaaS > CaaS > IaaSという順番で実現性を考えることとなる。

SaaS化については、最近だと以下の導入事例の話をよく聞く。いわゆるローコードツールと呼ばれるプログラミングをせずに簡易的に作成できるアプリケーションである。

・PowerApps(Microsoft)
・キントーン(サイボウズ)
・AppSheet(Google)
・イントラマート(NTTデータ)

おなじみのMicrosoftやGoogle以外にキントーンやイントラマートなどの国産プラットフォームも耳にする機会がある。こうした企業の導入拡大は、日本発プラットフォームの拡大および国の方向性としても期待されるべきものであろう。

 中小企業診断士として、相対する企業に対しローコストで何が最適化を提案することが最も大事ではあるが、もう少し俯瞰した目線で判断できるような士業人材になる必要があると、改めて思った次第である。

以上

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onda.masashi@gmail.com

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