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 先日5/30に締め切られた第2回目の省力化投資補助金(一般型)の公募では、私は3件の事業者の申請を支援しました。いずれも北海道の農家(個人事業主)向けでした。私自身、補助金申請の支援はこれまでやったことがなく、公募要領の読み込みから基本的に一人で取り組みました。今回は、その申請を通じて分かった点、手こずった点などをまとめてみました。今後申請をされる事業者およびそれを支援する事業者はご参考いただければ幸いです。

また、早速、第3回目のスケジュールが公開されています。申請スケジュールは、8月上旬~8月末までとなります。 下記に、概要を記載してますので、検討されている方はこちらもご参照いただければと思います。


1.要件に対する留意点:

1-1. オーダーメイド設備の定義って?

  •  今回の省力化要件として「オーダーメイド設備」であることが含まれています。 これは、単純に製品を入れるだけでなく、事業者独自の開発やカスタマイズ要素が必要となります。 特に製品ありきで導入しようと考えている場合、システム開発など個別のオーダーメイド要素が発生するのかを見極める必要があります。私の場合は、農業機械の導入が最初にありましたので、独自要素をどのように持たせるかといった点は事業者といろいろと相談しながら計画しました。なお、以下はFAQで説明されている内容です。この中の「専用で設計された」というキーワードがポイントとなります。
(引用)「省力化投資補助金(一般型) よくあるご質問(一般型)」(独立行政法人中小企業基盤整備機構)

1-2. 基本要件のクリア条件

  •  要件の中に「生産性向上」があります。具体的には、「毎年、労働生産性を目標値である4%以上とする」ことが求められます。そして、他の要件である「給与支給総額」は、「事業計画期間の終了時点で、給与支給総額が所定の%以上とする」ことが求められます。前者は毎年クリアする必要があり、後者は終了時にクリアして入ればよいという違いがある点に注意する必要があります。
     そして、事業計画書作成段階で使用するEXCEL計算シート上では、条件に満たない場合にアラートが出ません。そのため、その時点では気づきにくいです。その状態のまま、WEB申請を行う段階でエラーとなり先に進めません。私は申請時にこのエラーが出て計算を全部やり直すことになりました。

1-3. 「給与支給総額」の要件は2つとも必要

  •  給与支給総額の要件には、「従業員一人当たりの給与支給総額」と「事業者全体の給与支給総額」の2つがあります。そして、そのいずれかをクリアすれば問題ありません。ただし、事業計画書では、双方をクリアする計画を出さないとエラーとなります。また、しきい値は、「事業者全体の給与支給総額」は年2%アップですが、「従業員一人当たりの給与支給総額」は、事業者が所在する都道府県の最低賃金の年平均成長率となります。ここもわかりにくい点です。

2.事業計画書作成時の留意点:

2-1. 回収期間計算シートは少しわかりにくい

  •  数値計画を立てるEXCELシート(様式その3)の中に「投資回収期間計算シート」というのがあります。
    ここで、回収期間を算出します。計算式は以下の通りです。
    回収期間 = 投資総額 ÷((①削減時間 × ②年間稼働日数 × ③人件費) + ④付加価値増加額)
(引用)「(別紙3)投資回収期間シート」※値はサンプル
  • a.) 年間日数
     このうち、②の年間稼働日数は、従業員の延べ日数である人日でなく単純な日数を指しています。よって、365日以下とする必要があります。そのため、仮に従業員が4名いたら②は4名の平均の日数とし、①の省力化時間も4名分の1日の合算時間を使用する必要があります。私の場合、最初省力化効果を年間の人日で算出していたため、再計算することとなりました。
  • b.) 増加した付加価値額
     また、④の付加価値増加額ですが、計算式の説明が「5年後付加価値額 – 現状付加価値額」となっております。本来は「毎年の付加価値額増加額」が正しいと思いますが、そうなっていません。よって、そのまま計算を当てはめてしまうと付加価値額が大きくなり、回収期間が短く算出されてしまいます。これはフォーマットの不備と思っていますが、計算時に注意する必要があります。

2-2. 事業計画期間は実施完了の翌年度から

  •  事業実施期間が終わった後に事業計画期間が開始します。事業計画期間は3~5年で、この期間で目標要件のクリア状況を測定することになります。そして、この事業計画期間の1年目は「事業実施期間が完了した年度の翌年度」からカウントとなります。 そのため、事業実施期間(最大18ヶ月)の完了予定が今年度内ではない場合、「翌々年度」から開始となります。それを踏まえて事業計画期間と数値を設定する必要があります。

2-3. 事業計画は常に5年間分の記載が必要

  •  事業計画期間は3-5年で事業者が選べますが、事業計画書上は5年分を記載しないとなりません。
    そのため、仮に3年で想定していた場合も5年分の計算はする必要があります。

2-4. 借入の場合は銀行確認書の回収を見据え早めに作成を

  •  設備投資の初期投資代金は補助金が入金される前に事業者が支払う必要があります。その際、自己資金か借入金で資金調達を行う必要があります。借入で賄う場合、借用元から「銀行確認書」を記入してもらいそれを添付する必要があります。よって、早めに事業計画書を作成し銀行に確認してもらう必要があるため、余裕をもって事業計画書の作成が必要となります。

3.加点ポイントの留意点:

3-1. 事業継続力強化計画(ジギョケイ)

  •  事業継続力強化計画(ジギョケイ)は、 加点ポイントになるのでを予め取得しておくのがおすすめです。
    2wくらいかかりますので事前に余裕をもって作成しておく必要があります。

3-2. パートナーシップ構築宣言は対象外

  •  省力化投資補助金の場合、「パートナーシップ構築宣言」の取得はポイント加算の対象外です。
    一方、「成長加速マッチングサービス」は加点対象となります。
    ※ちなみに、もの補助や事業再構築は、「パートナーシップ構築宣言」加点対象です。
    下記に双方の違いも掲載しますが間違えないようお気をつけください。

4.WEB申請時の留意点:

4-1. EXCEL計算シートの数字をWEBへ転記するのが面倒

  •  計算シートの値(営業利益、人件費など)を画面に転記する必要があります。
    申請者がPC操作に慣れていない場合、コピペに非常に時間がかかります。
    ちなみに私の場合、こちらが口頭で読み上げ、申請者が手打ちしてもらう形で対応しました。
    この点は事務局側に省力化を求めたい点です。。

5.申請後期:

ここからは、独力で補助金申請を終えた今、事業計画書を作成しながら感じた点3点を記載します。

ⅰ)採択の審査について

  • 審査は診断士が実施
     本件の採択に向け審査が行われますが、その審査に当たる審査員は私と同じ中小企業診断士が担うようです。 その際、書類審査は、約3週間かけ1人で最大30件を見る形となります。つまり1件1日未満で審査する形となります。こからわかる点として、1件あたりに注力する時間は非常に少ないと感じます。おそらく半日程度です。
     したがって、審査員は、申請した事業者の業務知識が必ずしも無い中で審査をすることから、審査員自身で細かく業務内容や妥当性の評価検証までの精査は難しいと思われます。そうすると、記載した事業計画書からのみ判断する形とせざるを得ません。よって、事業計画書の出来栄えで採否の結果が大きく左右されるといえます。そこから言える点として、事業計画書は「わかりやすく」「要点を突いており」「抜け漏れがなく」「論理的に一貫し矛盾していない」ことが非常に重要と感じます。

ⅱ)AIの活用について:

  •  事業計画書の作成にて生成AIの利活用をどこまで行えるのか/行うべきかという点については、皆さんも興味がある点かと思いますし、私自身もどこまでをやらせるかを考えながら取り組みました。今は、巷に「AIによる事業計画書自動作成サービス」を提供する業者も出てきていますし、その流れは自然かと思います。
     そしてAI活用は、事業計画書を作成したことがない経営者や支援者にとって有用な反面、依存してしまうことによる弊害があります。特に事業を実施するのは経営者です。経営者が実行力を伴わない事業計画書をAIが生成すること(いわば絵に描いた餅)となっては意味がありません。よって、私として以下のようなAIの活用推奨/非推奨といった分け方がよいかと考えます。
AI活用を推奨しない部分AI活用を推奨する部分
・真の課題抽出
・経営目標/ゴールの決定
・省力化→リソース活用シナリオの骨子作成
…など
・情報収集(企業情報、外部環境情報、など)
・RAGから新たな観点の抽出(LMの活用)
・下書きや記載内容のファクトチェック
・抜け漏れや客観的な評価指摘
…など

ⅲ)農業支援への思い:

  •  今回、私は農家の事業計画書を作成しました。
    その中で、農家が置かれている課題である「農業従事者の減少」や国の課題でもある「食料自給率向上」といっ文脈から、1戸あたりの大規模農場化に向けスマート農業化を行う計画を記載しました。そして、省力化により得られたリソースを農地拡大や販路開拓といった活動へ再投資するシナリオを描きました。
  •  特に、省力化投資補助金は、ものづくり補助金の目的である新たな事業・サービスへの投資と違い、「既存事業の省力化で生まれたリソースを再投資し、いかに企業を持続的に成長させていくか」という点が重要となります。
  •  また、スマート農業化という点では、農水省による取り組みと経産省による取り組みの両面から取り組んでいく必要があると感じています。役割として農水省は農家に対する普及を中心に担い、経産省は技術面での研究・開発が守備範囲となりますが、両面での橋渡しの部分が弱いと個人的に感じています。この部分を中小企業診断士がカバーできれば、さらに普及の加速化につながると思っています。そういった意味で、今回の申請については今後につながる機会であったと感じています。

6.最後に

以上、第2回目の申請を経て感じた点となります。いかがでしょうか。

 特に、農業支援に向け今後も申請を行っていきたいと考えておりますので、農業従事者の方で検討されている方はお問い合わせいただければと思います。また、支援者で、当該活動に賛同いただける方が居れば一緒に活動していきたいと思いますので、お知らせいただければと思います。

以上

動画生成: NoLang (no-lang.com)
VOICEVOX: WhiteCUL

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