SEOは心理学である ── 自社サイトの実例とAI検索時代の歩き方
本記事では、SEO対策の本質と、AI検索時代の新しい流入経路、そしてClaude Code(人間の指示を受けて自律的にコードを書いたりファイルを操作するAIエージェント)を使った運用改善までを、中小企業診断士の視点で整理してお伝えします。「アクセス解析は見ているけれど、結局何をすればよいのか分からない」という経営者や実務担当者の方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
はじめに:「検索順位1位なのにクリック0」というショッキングな現実
私は中小企業診断士として当該ホームページを運用し定期的に情報を発信しています。
毎月、自社サイトのSEOレポートを眺めながら「アクセスは伸びているのに、問い合わせがあまり増えない」「順位は上がっているのに、クリックされていない」という違和感を感じていました。そしてある月のレポートで、目を疑う数字を発見します。
- 「組織の5原則」というキーワードでGoogle検索順位は1位。なのにクリック率(CTR)は 0%。
- 「中小企業診断士 バッジ」というキーワードでGoogle検索表示回数は 319 回。なのにCTRは 0%。
順位1位なのにクリックされない。319回も検索結果に表示されているのに、誰一人クリックしていない。
これは「ただ順位を上げれば良い」というSEO観が、現代では通用しないことを突きつける数字でした。

そこで本記事では、自社の実データを題材に以下4点を整理します。
- SEO対策とは何か ── 4段階ファネルで「どこが詰まっているか」を診断する考え方
- AI検索時代の流入変化 ── Google AI Overview と LLM 経由流入をGA4でどう捉えるか
- 具体的な改善事例 ── 自社サイトの2026年4月SEOレポートから抜粋
- 私の運用方法 ── Claude Code(AIエージェント)で自前ダッシュボードを作って回している話
1. SEO対策とは何か ── 4段階ファネルで診断する
SEO(Search Engine Optimization=検索エンジン最適化)とは、Googleなどの検索エンジン経由の自然流入(オーガニック=広告でない、自然な検索結果からの流入)を増やすための施策一式です。
広告と違ってクリック単価がかからないため、中小企業にとって最もコスト効率の良い集客チャネルの一つです。
まず、SEOを語る上で押さえておきたいのが以下の3つのデータソースです。
| ソース | 分かること | 分からないこと (単独では見えないこと) |
|---|---|---|
| GA4(Google Analytics 4 / Googleの無料アクセス解析ツール) | サイト内の行動(PV・直帰・滞在・流入元) | 検索キーワード・掲載順位・インデックス状況 |
| GSC(Google Search Console / Google検索で自サイトがどう表示されているかを確認できる公式ツール) | 検索での露出(クエリ・CTR・順位・表示回数) | サイト内での行動(離脱・回遊) |
| Google 広告(Google検索結果やYouTube等に有料広告を出稿できるサービス) | 有料経路でのクリック・コスト・CV | オーガニックとの相乗効果・カニバリ |
主要指標の用語補足は以下のとおりです。
- 表示回数(インプレッション):検索結果に自身のページが表示された回数
- 順位(掲載順位):そのキーワードでの平均表示順位(Google検索の上からの表示順位)
- CTR(Click Through Rate / クリック率)= クリック数 ÷ 表示回数。検索結果に表示されクリックされた割合
- セッション:ユーザーがサイトに訪問してから離脱するまでの一連のアクセス
- PV(ページビュー):ユーザーにページが表示された回数
- 直帰率:サイトに来て1ページだけ見て離脱した割合
- CV(コンバージョン):問い合わせ・申込み・購入など、サイトの目標達成のこと

1-1. 「SEOがうまくいかない」を分解する4段階ファネル
ここからが本記事で一番伝えたい考え方です。
「SEOがうまくいっていない」という相談を受けると、私はまず「どのステージで詰まっているか」を聞きます。
ステージごとに打ち手が全く違うからです。
[Stage 1] そもそも検索結果に出ていない
↓
[Stage 2] 検索結果に出ているのにクリックされない
↓
[Stage 3] クリックされたがすぐ離脱する
↓
[Stage 4] 読まれたが行動につながらない(CV)
ひとつずつ見ていきます。
Stage 1:そもそも検索結果に出ていない(インデックス・露出の問題)
- 症状:
- GSC で表示回数がそもそも 0 か極端に少ない/対策キーワードを Google 検索しても、自社ページが 50 位以内に見つからない
- 主な原因:
- そもそも Google にインデックス(=Googleがそのページの存在を認識し検索結果に出せる状態にしていること)されていない(noindex タグ・サイトマップ未提出・クロール拒否設定など)
- コンテンツが薄い/既存ページと重複していてフィルタされている
- E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性 = Googleが品質評価で使う4軸)が弱く、競合に押し負けている
- 内部リンク(自サイト内のページ同士をつなぐリンク)が孤立していて、Googleクローラーが辿れない
- そもそも対策キーワードの競合が強すぎる/検索需要がない(キーワード選定ミス)
- 打ち手:
- GSC の「URL検査」機能で、個別ページのインデックス状況を確認する
sitemap.xml(サイト全URLの一覧ファイル。Googleがクロールする際の地図になる)を提出、robots.txtのクロール拒否設定を点検- コンテンツを最低2,000字を目安に拡充し、自社の経験・データなど一次情報を盛り込む
- 既存の主要ページから新規ページに内部リンクを 3〜5 本貼って、Googleに発見させる
- キーワードをロングテール化(「補助金」→「ものづくり補助金 2026 採択率」のように具体化)して、競争を避ける
ここを放置すると、後段の打ち手が全部空振りに終わります。「そもそも土俵に上がっているか」を最初に確認する癖をつけてください。
Stage 2:検索結果に出ているのにクリックされない(タイトル・スニペットの問題)
- 症状:
- GSC で表示回数は 100〜1,000 オーダーあるのに、CTRが 1% 未満ないしゼロ。順位が1〜10位でも起こる
- 主な原因:
- 検索意図とタイトルの不一致。検索者が頭の中で探している答えと、タイトルが噛み合っていない
- タイトルが正式名称のみで魅力に欠ける/疑問形で脳に余計な認知負荷をかけている
- メタディスクリプション(検索結果でタイトル下に表示される 1〜2 行の説明文)が未設定で、Googleが本文から自動抽出して微妙な文章になっている
- 検索結果上で AI Overview(後述)や強調スニペットが先に表示され、自分のリンクが視覚的に埋もれている
- 打ち手:
- メタタイトル(HTMLの
<title>タグで指定する、検索結果に青字で表示される文字列)を 「キーワード先頭配置 + 年号 + 数字 + ベネフィット」 で書き直す - 疑問形タイトルを断定型へ変更(「〜とは」「〜の使い方」「徹底解説」「実践ガイド」など)
- メタディスクリプションを手動で書き、検索意図への答えを 120 字以内に圧縮する
- リスト型・比較表型のコンテンツであることをタイトルで明示する(読者は「考える」のではなく「答えの形」が欲しい)
- メタタイトル(HTMLの
これが本記事の中心テーマです。§3で実例を深掘りします。
Stage 3:クリックされたがすぐ離脱する(コンテンツ/UXの問題)
- 症状:
- GA4で直帰率が 60% 超/平均滞在時間が 30 秒以下/スクロール深度が浅い
- 主な原因:
- ページ表示が遅い(特にスマホ)
- 結論が下の方に埋もれていて、検索者が「自分の求めていたページではない」と即判断
- 文字がびっしり詰まった壁テキストで、視覚的に読む気が起きない
- スマホ表示が崩れている/ボタンが押しにくい
- 打ち手:
- Core Web Vitals(コアウェブバイタル = Googleが定めたページ体験の評価指標。表示速度・操作応答性・画面安定性の3軸で測る。検索順位にも影響する)を改善:LCP 2.5秒以下、INP 200ms以下、CLS 0.1以下
- 画像のWebP化(GoogleがJPEG/PNGの代替として開発した、軽量で高画質な画像フォーマット)+ 遅延読み込み(lazy loading)
- 結論を冒頭に置く逆三角形構造にする
- 比較表・フローチャート・FAQで文章を構造化し、認知負荷を下げる
これについてですが、サイトへアクセス後の話なので厳密にはSEO施策ではありません。
ただし、Googleの検索アルゴリズムはユーザー満足度シグナル(滞在時間・回遊・再検索の有無)を間接的に評価していると広く考えられています。さらに何より、せっかく検索順位を上げて呼び込んだユーザーが離脱したら事業上の機会損失そのものです。よって、広義のSEOの射程に入れて考えるべきです。
Stage 4:読まれたが行動につながらない(CVの問題)
- 症状:
- PVと滞在時間は十分あるのに、問い合わせ・申込み・購入が発生しない
- PVと滞在時間は十分あるのに、問い合わせ・申込み・購入が発生しない
- これについても厳密にはSEOではなくCRO(Conversion Rate Optimization = コンバージョン率最適化)の領域です。本記事では「SEOの先にある工程」として軽く触れるにとどめ、§4で「クエリ → ページ → CV まで1動線で追える」自前ダッシュボードの話につなげます。
1-2. SEOの本質:アルゴリズムハックではなく顧客理解
4段階を貫く原理は1つです。
「検索者が頭の中で探している答えに、最短距離で到達させる」こと。
これに尽きます。
SEOというと「Googleのアルゴリズムをハックする無味乾燥な作業」というイメージを持つ方も多いのですが、現代のSEOの本質は徹底的な顧客理解です。
検索者がなぜわざわざその言葉で検索したのか、その背後にある欲求・焦り・迷い・面倒くさがる心理を読み解き、先回りして答えを用意する。
これがSEOの根幹だと私は考えています。
2. AI検索時代の流入変化 ── サーチエンジンからLLMへ
ここまでは「Google検索」を前提にした話でしたが、2024年以降、流入経路の前提が大きく揺らぎ始めています。
2-1. Google AI Overview(旧 SGE)の影響
Google AI Overview(旧称 Search Generative Experience=SGE)は、Google検索結果の最上部にAIが生成した要約回答を表示する機能です。検索者は要約を読むだけで疑問が解決してしまうため、サイトをクリックせずに離脱する「ゼロクリック検索」が構造的に増えます。

SEO担当者から見ると影響は明確です。
- 表示回数(GSCで計測)は変わらない、または微増する
- しかしクリック数は減り、結果としてCTRが構造的に下がる
- これまで「順位3位・CTR 5%」だったページが、AI Overviewが上に出るようになると「順位3位・CTR 2%」に落ちる、というケースが起こり得る
対策としては以下が挙げられます。
- AI Overviewに引用される位置を取りに行く:
AI Overviewは複数の参照元を引用するため、その参照元として選ばれることを目指す - 構造化データ(マークアップ=ページ内容をGoogleが理解しやすい形式で明示すること)の整備
- 質問と答えがペアになっているFAQ形式の積極活用
- 結論を冒頭に明示する書き方(AIが要約しやすい構造)
2-2. LLM経由流入という新しいチャネル
もう一つの大きな変化が、LLM(Large Language Model=大規模言語モデル。
ChatGPT・Claude・Geminiなどの基盤技術)からの流入です。
ChatGPT検索、Perplexity、Claudeなどが回答内でWebページを引用するようになり、ユーザーがそこから自社サイトに来訪するケースが増えています。これは従来のサーチエンジン流入とは別の流入経路です。

ではこれは GA4 上ではどのように分類されるのでしょうか。
- 多くの場合、「Referral」(リファラル=参照元ありの外部サイト経由流入)または 「Direct」(ダイレクト=参照元情報がない直接訪問)に分類される
- 具体的な参照元としては
chat.openai.com/perplexity.ai/claude.aiなどのドメインが徐々に観測されるようになってきた - ただしLLM側の実装によっては参照元情報(リファラ)が落ちるケースも多く、実態は GA4 上の数字より過小評価されやすい
これに対応する新しい考え方として、LLMO(LLM Optimization)あるいは GEO(Generative Engine Optimization=生成AIに引用されやすいコンテンツ最適化)という用語が登場しています。
要するに「生成AIに引用されやすい書き方」を意識する、ということです。
2-3. 結論:従来SEO + AI引用最適化の二正面作戦
ここから言えるのは、これからのSEOは従来SEO(検索エンジン向け)+ AI引用最適化(LLM向け)の二正面作戦になりつつあるということです。
ただし、両者の根っこは同じです。「ユーザーの問いに対する明快な答えを、構造化して提示する」。
むしろAIに引用されるためには、従来SEO以上に結論ファースト・構造化・一次情報・明快さが要求されます。
SEOの本質である「顧客理解」と「答えの明快な提示」は、AI時代になっても揺らがない、と私は見ています。

3. 具体的な改善事例 ── 自社サイト 2026年4月 SEOレポートから
ここから実名・実数で自社サイトの話に入ります。
当reverve-consulting.com の2026年4月の月次SEOレポートから、特徴的な事例を抜粋します。
3-1. 全体像:前月比 +73.6% の急成長と、その裏の課題
2026年4月の自社サイトは、GA4セッション数が前月比 +73.6%(988 → 1,715) と急成長しました。
GSC表示回数も +4.1%(3,991 → 4,155)、平均掲載順位は 9.66 → 8.18 と 1.48 ランク改善しています。
最大の牽引役は前月公開した 「Claude Code for Executives(経営者のためのClaude Code入門)」 という記事で、これ単独で月間270クリックを獲得しました。経営者層のAIツールへの強い関心が数字に表れた結果です。
ただし、レポートを作成しながら私が強い危機感を持ったのは、この成功の裏に潜む課題でした。
3-2. 「上位5〜10位帯・CTR 3% 未満」のゾーンに6ページが滞留
上位10ページのうち、6ページが「5〜10位帯/CTR <3%」というゾーンに位置していたのです。
検索結果の1ページ目には表示されているのに、3位以内に食い込めず、なおかつクリックもされていない。「あと一押し」のところで足踏みしているページ群です。
具体的に、特に痛い事例を表にまとめます。
| クエリ | 表示回数 | 平均順位 | CTR |
|---|---|---|---|
| 中小企業診断士 バッジ | 319 | 10.8 | 0% |
| 中小企業省力化投資補助金 農業法人 対象 | 91 | 6.9 | 0% |
| 値上げに応じない 企業 一覧 | 63 | 5.8 | 0% |
| 組織の5原則 | 11 | 1.0 | 0% |
特に最後の「組織の5原則」は検索順位1位です。1位なのにクリック率ゼロ。これはある意味すごいことです。
なぜこんなことが起きるのか。
理由はシンプルかつ残酷で、検索意図とタイトルの不一致です。
検索しているユーザーが頭の中で探している答えと、目の前に表示されたページのタイトルが噛み合っていない。検索結果をスクロールするユーザーは、1文字1文字を読まずに「自分の悩みを解決してくれそうな単語」を無意識にスキャンしています。自分の文脈と少しでもズレたタイトルは、物理的に視界に入っていても脳がノイズと判断してスルーするのです。
3-3. タイトル改善の具体例(3つだけ抜粋)
レポートでは10記事について改善案を提示しましたが、特に分かりやすい3つを紹介します。
ケース1:疑問形タイトルが空振りしている
- 改善前タイトル:
組織運営の5原則を意識してますか? - 改善後タイトル:
組織運営の5原則とは――チームを強くする実践のヒント
疑問形タイトルはコピーライティングの世界では常套手段ですが、検索結果上ではむしろ逆効果になりがちです。
ユーザーは検索窓に言葉を打ち込んだ瞬間、「今すぐ答えを知りたい」状態。そこで「意識してますか?」と問い返されると、「問いに答える」という余計な認知負荷がかかります。よって、疑問符を消して具体性を足すだけで、CTRは大きく改善します(目標:1.3% → 8%超)。
ケース2:正式名称だけで魅力に欠ける
- 改善前タイトル:
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 - 改善後タイトル:
ものづくり補助金2026年版ーー中小製造業の設備投資・革新的サービス開発
このページは表示回数558回もあるのに、CTRはゼロ、実際のPVに至ってはたった1。原因はタイトルが正式名称のみで何のベネフィットも伝えていないことです。
検索しているのは「補助金を使って事業を成長させたい経営者」であって、正式名称が知りたいわけではない。
年号・対象読者・ベネフィットをタイトルに盛り込むだけで、検索者の「これは自分のための記事だ」という認識を生み出せます。
ケース3:検索者はリストそのものが欲しい
- 改善前:
価格転嫁へ『非協力的』な企業名の公開 - 改善後:
経済産業省が公表した『価格転嫁に応じない企業 一覧(2024年版)』徹底解説|中小企業の交渉戦略
「値上げに応じない企業 一覧」で検索する人は、制度の成り立ちや法律解説を求めているのではなく、そのリストそのものを見たいのです。だからタイトルに「一覧」「徹底解説」を明示し、本文もリスト型コンテンツとして再構成する。ユーザーは「考えたい」のではなく「答えの形」が明確なものが欲しいのです。
3-4. 構造化による認知負荷の低下
タイトル改善で店内に入ってきたお客さんを、次は離脱させない工夫が要ります。文字がぎっしり詰まった長い説明文は、現代のユーザーには1秒で閉じられます。したがって、情報の見せ方を以下のように工夫しました(一部はこれから対応します)。
- 「補助金と基金」記事:冒頭に4項目比較表(財源/受給対象/返還義務/申請窓口)を配置
- 「省力化投資補助金 農業活用」記事:Yes/No形式の対象判定フローチャートを設置(「自社は使えるのか?」を即座に答える)
- 「Claude Code for Executives」記事:経営者向けFAQ(「経営者がコードを書けなくても使えるか?」など)と、導入前後のBefore/After数値を追加。直帰率 54% → 40% 台を狙う
「文章を読めば分かる」というのは提供者側のエゴで、現代のユーザーは「見た瞬間に分かる」状態を求めています。これがSEOにおける情報の消化しやすさ=認知負荷の軽減です。

3-5. 究極のホスピタリティ:誤記キーワードまで拾う
最後に、私がこのレポートを作っていて最も「これこそSEOの本質だ」と感じた事例を紹介します。
「中小企業診断士 バッジ」というキーワードに対して、検索者の中には「中小企業診断士 バッチ」(点々の「ジ」ではなく、5文字の「チ」)と打ち込んでしまう人が一定数います。日本語の誤用です。
このとき、「正しい日本語で検索し直してください」と突き放すのではなく、本文内に正式名称と通称(バッジ/バッチ)を両方1〜2回登場させることで、誤記検索者もきちんと拾う設計にする。これは小手先のテクニックではなく、ユーザーのありのままの行動を許容する設計という思想そのものです。
うっかり間違えたままの相手を、「あなたが探しているのはこれですよね」と優しく迎え入れる。これが私の考える究極のSEOホスピタリティです。
4. 私のSEO運用 ── Claude Codeで自前ダッシュボードを作って回す
ここまでの分析を毎月手作業でやろうとすると、3つの管理画面(GA4・GSC・Google広告)を行き来して、Excelに転記して、突き合わせて……という運用になります。私は3週間で限界を迎えました。
そこで考えたのが「これ、1つのダッシュボードに統合できないか?」というものでした。
結論から言うと、Claude Code(Anthropic社が提供するターミナルから使うAIエージェント型開発ツール)と一緒に作業すれば、エンジニア専業でなくても2〜3週間で本格的な分析ダッシュボードが作れます。
4-1. 1画面に統合してできるようになったこと
ブラウザでURLを開くと、ログイン後すぐに以下のような状態でデータが見えます。

- 8枚のKPIカードで今月の動きを一覧(前期比矢印付き、異常値は自動アラート)
- 「キーワード → ページ → ユーザー行動」を1動線で追える:クエリをクリックするとそのクエリで流入しているページ一覧が展開、さらにページをクリックするとPV・直帰率・滞在時間・流入チャネル内訳まで一気に見える
- 改善アクションを自動提案:
- Quick Wins:表示は多いがクリックされていないクエリを自動抽出(タイトル改善候補)
- カニバリ検出:同じクエリで複数ページが順位を取り合っている組み合わせ
- 更新推奨ページ:過去に伸びたが直近で下降しているページ
- アクションプラン:いま手を打つべきページTOP10を順位・流入・CV見込みで自動採点
- 月次レポートをワンクリック出力:以前は手作業で2〜3時間かかっていた作業が実質0分
- MCP Server経由で自然言語クエリ:「先月のオーガニック流入TOP10は?」「ブログ記事Aの直近30日のCV数は?」とターミナルで聞ける



§3で書いた分析はすべてこのダッシュボードの出力を元にしています。
4-2. システム構成(シンプルな3層)
特殊なミドルウェアは使っていません。Next.js(米Vercel社が開発しているReactベースのWebアプリ用フレームワーク)のフルスタック構成で、Google各APIをサーバー側で中継しているだけです。
[ブラウザ]
│
▼
[Next.js App Router (React 19)]
│ fetch("/api/ga" | "/api/gsc" | "/api/psi" | "/api/ads")
▼
[Next.js API Routes(サーバー)]
│ │ │ │
│ │ │ └──→ Google Ads API(OAuth 2.0)
│ │ └──→ PageSpeed Insights API
│ └──→ Google Search Console API(サービスアカウント)
└──→ GA4 Data API(サービスアカウント)
│
▼
[Neon Postgres](確定済みデータの永続キャッシュ)
│
▼
[MCP Server(Python/FastMCP)] ──→ Claude Code から直接クエリ
ポイントを3つだけ。
- 認証は2系統:GA4・GSC・PSIはサービスアカウント(プログラム用のロボットGoogleアカウント)、Google広告だけは仕様上OAuth 2.0のリフレッシュトークン方式
- 確定済みデータだけPostgresにキャッシュ:GA4は4日前までしかデータが確定しないので、4日以上前のデータだけPostgreSQL(オープンソースのデータベース)に保存。API課金とレート制限を回避しつつ過去2年分を高速描画
- MCP Server(Model Context Protocol Server=AIエージェントが外部データやツールを呼び出すための標準的な通信窓口)も併設:Web UIとAIエージェントの両方から同じデータを叩ける
4-3. Claude Codeを「指揮者は人間、演奏者はAI」で使う
このダッシュボード、私が1行ずつ手書きしたわけではありません。設計・実装・デバッグの大半をClaude Codeに任せて、私は「方向性のレビュー」と「仕様の意思決定」に集中しました。
実際に使ったフローはこんな感じです。
- 要件を箇条書きで投げる:「GA4・GSC・PSIを統合した分析ダッシュボードをNext.jsで作りたい。ダークテーマ、15ページ構成、まずはAPI接続だけ通したい」程度の粒度でOK
- Plan Modeで実装前にレビュー:Claude CodeのPlan Mode(AIがいきなり実装せず、計画だけを箇条書きで提示するモード)で12個の実装ステップが出てきたうち、私の判断で2つを「不要」と削り、1つを「先にこっちをやるべき」と順序入れ替え
- サブエージェントで並列化:UIの色調整 + バックエンドのキャッシュ実装 + ドキュメント更新のような独立した改修は、サブエージェント(メインのAIから派生して並列に動く子エージェント)に並列実行させる。順番にやると30分かかるものが10分弱で終わる
- CLAUDE.md と memory で文脈の永続化:Claude Codeは会話を閉じると記憶を失うが、
CLAUDE.md(プロジェクトのルール書)とmemory/(過去の学びをAIが自分で書き残すファイル群)を読み込ませれば、明日の自分と明日のClaudeが同じ文脈で開発を再開できる

結果、15ページ・約2万行・テスト94件のダッシュボードが2〜3週間で本番稼働まで持っていけました。私はバックエンドエンジニアではありません。Next.jsもApp RouterとPages Routerの違いから入ったレベルです。それでもこれができたのは、Claude Codeが「壁打ち相手」と「実装者」と「レビュアー」を同時にこなしてくれたからです。
5. まとめ:SEOは心理学であり、AI時代でも本質は変わらない
長くなったので最後に整理します。
- SEOの本質は徹底的な顧客理解。検索者がなぜわざわざその言葉で検索したのかを読み解く作業
- 4段階ファネル(出ていない/クリックされない/直帰する/CVしない)で診断すると打ち手が明確になる
- AI検索台頭で流入経路の再設計は必要だが、根っこの「ユーザーの問いに明快な答えを返す」は変わらない。むしろAIに引用されるためには従来SEO以上に構造化と明快さが要求される
- 中小企業の武器は「自分専用ツールを自分で作れる」時代になったこと。Claude Codeはその実現可能性を一気に押し上げた
最後に、このSEOレポートを作っていて私が最も学んだことを共有して締めます。
レポートは 「表示はあるのにCTRがゼロ」という、ユーザーがクリックしなかったという無言の行動データから最大の改善点を見出していました。行動を起こしたデータではなく、沈黙のデータにこそビジネスの急所が隠れていたのです。
これはあなたの日常にも置き換えられます。
読まれなかった企画書、返信が来なかったメール、いいねがつかなかった投稿。大通りの一等地に出したお店の前を人々が黙って通り過ぎていく時、そこには必ず意図のズレという理由があります。
無視されたことを見過ごすのではなく、「なぜ彼らの脳はそれをスルーしたのか」を考える。
そこにビジネス成長のヒントが隠れているはずです。
次回あなたがGoogleの検索窓に何か言葉を打ち込む時、自分自身がどんな心理状態でその言葉を選んだのか、そしてどんなタイトルの記事ならクリックしたくなるのか、少しだけ自分自身を観察してみてください。
SEOは、その観察の積み重ねでしか前に進まない、極めて人間的な営みだと私は思っています。
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以上
投稿者
onda.masashi@gmail.com