農業をはじめてみませんか(農業の始め方)
これから農業をやってみたいという人も多いかもしれません。ただし、いざ農業を始めようと思っても、「何から手をつければいいの?」「どんな方法があるの?」と、分からないことだらけで一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。特に、農地の取得は所定の手続きが必要となりますので、どのように取得するかというところから考えねばなりませんよね。今回はその部分にフォーカスしてみます。
農業を開始する上での3つのタイプ
これから農業をやりたい方にとってご自身の目指すスタイルによって大きく3つのパターンに分類されると思います。これらタイプごとに特徴や相談すべき相手が異なりますので、それを把握した上でご自身の次のアクションにつなげていただけると幸いです。
- 専業農家 ・・・ 農業のみで生計を立てたい方(年間150日以上従事)
- 兼業農家 ・・・ 本業をやりながら農業と合わせて生計を立てたい方(年間150日未満従事)
- 家庭菜園 ・・・ 非営利目的で趣味やレクリエーションの範囲で農業を行いたい方
以下、3つのタイプとその説明となります。
農業参入の3つのタイプとは?
プロの農家を目指す方向け
- 本格的に農業で生計を立てる
- 脱サラや独立して農園経営
- 長期間(10年以上)のまとまった農地が必要
- 農地の売買や長期賃貸借が中心
- 農地中間管理機構の活用
副業として農業を始めたい方向け
- 会社員などと両立した農業経営
- 定年後の副収入としての農業
- 小規模から始められる
- 年間150日要件の緩和により参入しやすく
- 事業として販売・利益追求が前提
趣味や体験で農業を楽しみたい方向け
- 週末の土いじりを楽しむ
- 自家消費の無農薬野菜作り
- 市民農園や貸し農園の短期利用
- 小区画での気軽な利用が可能
- 営利目的禁止(販売不可)
それぞれの目的や特徴に応じて、最適な制度や相談窓口があります。
各タイプの相談窓口
- 農地中間管理機構(県農業会議等)
- 市町村農業委員会
- 農地中間管理機構(認定取得後)
- 市町村農林水産部門
- JA営農支援課
- 民間貸し農園各社
新規就農(専業)
— プロの農家を目指す方へ —
- • 脱サラして本格的に農業を始めたい方
- • 独立して自分の農園を持ちたい方
- • 農業を生計の柱として取り組む方
- • 長期間(原則10年以上)のまとまった面積の農地が必要
- • 農地の「売買」や「長期賃貸借」が主な選択肢
- • 安定した農業経営のための計画策定が重要
- • 農地中間管理機構(農地バンク):農地のマッチング支援
- • 農地法第3条:農地の売買・貸借の許可制度
- • 認定農業者制度:経営改善計画の認定による支援
本格的に農業で食べていくための王道ルート。しっかりとした営農計画や農地の効率的利用が求められます。農業委員会の審査を通過するには、農業への本気度と技術力のアピールが重要です。
新規就農(兼業)
— 副業や定年後の農業に —
- • 平日は会社員として働き、週末に農業で収入を得たい方
- • 定年後、年金収入を得ながら農業で副収入も得たい方
- • 本業を持ちながら農業にも挑戦したい方
- • 小規模から始められるのが魅力
- • 年間150日以上の従事要件が緩和されている
- • 「事業」として行うため、作物販売・利益追求が前提
- • 認定農業者(専従性問わず可):兼業でも計画次第で認定可
- • 農地中間管理事業(150日要件非適用):兼業農家でも利用可
「農業も仕事の一つ」と位置づけるスタイルです。趣味の家庭菜園とは異なり、収益を上げることが目的となります。法改正により兼業でも農地を借りやすくなっています。
家庭菜園・レクリエーション
— 趣味・食育・体験として —
- • 都市部に住んでいて週末に土いじりを楽しみたいファミリー
- • 自分で食べる野菜を無農薬などで安心して作りたい方
- • 自然と触れ合い、食育を体験したい方
- • 誰でも気軽に始められる(農業のプロでなくてもOK)
- • 場所を借りる「利用契約」が中心(1年更新など短期契約)
- • 区画も小さめで、手軽に管理できるサイズ
- • 営利目的は禁止(自家消費やおすそわけが基本)
- • 特定農地貸付:農業者でない人にも農地を貸せる制度
- • 市民農園整備促進法:自治体・JAによる市民農園の開設
- • 相談窓口:市役所農林担当課、JA、民間貸し農園会社
農業への第一歩として最も手軽で簡単な方法です。「農家になる」のではなく「畑を借りて野菜作りを楽しむ」というスタイル。手続きも比較的簡単で、気軽に始められます。
これら新規就農者向けに総合的に支援する制度や団体もあります。こちらもご参考にしてみてください。
国や自治体の主なサポート環境
- 農林水産省や各都道府県、市町村には新規就農希望者向けのワンストップ相談窓口があり、キャリア相談や就農までのステップについてきめ細かなアドバイスが受けられます (例:農林水産省「新規就農の促進」、横浜市「農業参入・就農希望の方向け」)
- 地域によっては、農業インターンシップや体験研修のプログラムなど、就農前に現場体験を積める環境も整っています (例:二宮町「就農・農業参入支援」)
電話:03-6910-1133
各都道府県の農業普及指導センター
- 経営開始資金や青年等就農資金(無利子融資)、機械・施設投資への補助など多様な資金支援制度が用意されています。最長3年間最大年間150万円の給付金や3,700万円までの無利子融資が代表例です (例:農林水産省「就農支援」)
- 地方自治体でも、農業機械導入、施設整備、初期費用への補助、家賃補助など地域独自の支援メニューが用意されています (例:横浜市「新規就農者対象の営農支援」、平塚市「新規就農者への支援」)
・無利子融資:最大3,700万円
・機械・設備:補助率1/2など
- 新規就農者が地域で安定して営農できるよう、地域農業団体や先輩農家らが経営・技術について定期的に面談やアドバイスを行なう仕組みもあります (例:地域の新規就農サポート宣言)
- 神奈川県では「かながわ農業サポーター」制度や、農業アカデミーによる継続サポートも提供されています
・栽培技術指導
・販路拡大支援
・地域コミュニティ参加
各自治体やJAによって支援内容は異なります。詳細は最寄りの農政担当窓口にお問い合わせください。
ちなみに私(筆者)の実家は北海道で、兄が農業を引き継いでいます。
十勝平野のほぼ真ん中で、じゃがいも、小麦、大豆などを生産しています。農地の面積は約70haで東京ドームに換算すると約15個分になります。あまり想像がしにくい場合、小学校の100m走のトラックが7Km分横に続いていると理解してもらえるとイメージしやすいかと思います。
これらの農地も周囲の農家が離農することで農地を引き受けてきたため、徐々に拡大してきました。30年前の私が小学校だったときは20ha程度だったと思います。その際の農地の売買の際は、上記でも記載がありますが農地法(3条)に基づき農業委員会による許可を経て取得を行ったりしています。
このようにそれぞれのタイプに合わせて適切な相談先を見つけていただければ幸いです。
農業従事者の増加に向けて
日本の農業者の平均年齢は67歳を超え、農業者が減少傾向にあります。そのため、食糧自給率の維持という意味で大きな問題となっています。その影響の一例として、私の実家のように1農家当たりの農地面積が増加してきているといった傾向が見られます。そして、それをカバーするために現在は、農地集約やスマート農業による効率化といった動きも加速してきています。
このような問題(食糧安全保障と呼んでます)を改善するにはやはり新規就農者が増えていくことが望ましいです。今回の内容をきっかけにまずは小規模でもやってみようと思っていただける方が増えてくれると嬉しいです。また、若い方が参入する上で、スマート農業が加速していますので、これまでの農家に対するイメージは払しょくしつつあります。
たとえば、現在はトラクターの運転は人がハンドル操作しなくても自動操舵してくれますので、安全性や身体の疲労も軽減されます。また、肥料や種を播く際に、作物の成長度合いや土地の肥沃度合いにより自動で播く量を調整してくれる「可変施肥」「可変播種」といったことも現時点で普通に実現できています。また、ドローンを用いた散布なども増えてきています。

※この生育マップを基に可変施肥計画を作成しトラクターへデータを連携することが可能
こうしたスマート農業とこれから就農する若手の方とは親和性が高いといえますので、それこそ「スマートな農業」ができる環境が整いつつある点も動機付けの1つになるのではないでしょうか。
ただし、スマート農業の導入にはやはりコストがかかります。
私自身、そういった農業者向けに「省力化投資補助金」の申請をフォローさせていただいてますので、併せてご相談いただくことも可能です。また、スマート農業に関するブログ記事も追々記載できればと考えております。
以上
VOICEVOX: Anneli ACML 1.0
投稿者
onda.masashi@gmail.com