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中小企業白書および小規模企業白書が5月10日に中小企業庁より公開された。
何回かに分けて、気になった情報についてコメントしていこうと思う。

※中小企業庁:
 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/index.html

支援機関・支援人材の状況について

 まず、支援機関および支援人材の状況についてである。
4月に速報版が出た際に記載した以下の記事も参考いただきたい。

支援人材の絶対数は不足している

 以下は各支援機関別に相談員の不足状況を集計したグラフである。

(引用)「中小企業白書2024」(中小企業庁)

 見ていただくとわかる通り、赤い「不足」が全体の約6割を占めている。特に金融機関は8割である。中小企業の課題はさまざまであるが、コロナ禍の際の借り入れ返済期限を迎えることなどもあり、金融機関への依頼が多く寄せられているためと推測される。

 それ以外にも、徐々に経済が回復しつつあるなかで、新たな事業化や補助金による投資なども増えてきている中で需要の方が多い状況がここからわかる。

支援機関同士の連携は重要

 以下は、支援機関や相談員同士の連携による顧客企業の課題解決の効果を示している。

(引用)「中小企業白書2024」(中小企業庁)

 ここから、横や縦の連携がうまくできている相談員による課題解決率は高く、相互に強みや専門領域を補完して対応にあたることの重要性がわかる。

支援機関同士の連携によりカバーできる領域は限定的?

 以下は、支援機関および相談員同士が連携して対応できているかを課題領域別に整理したグラフである。

(引用)「中小企業白書2024」(中小企業庁)

 以下の4つは「連携できていない」割合が高い項目である。上から割合の高い順番である。つまり、課題への対応が不十分な領域という解釈ができる。

 ・「(14)脱炭素化・GX 」
 ・「(10)海外展開 」
 ・「(13)価格転嫁 」
 ・「(3)人手不足 」


 上記はいずれも今後日本として成長を進めるためには重要な課題である。これまでの記事でも散々取り上げてきているので、事細かに書かないが、GXは今後の日本のイノベーションを担える可能性のある領域であり、海外展開や価格転嫁は現在の円安時に求められる喫緊の課題である。人手不足においても少子高齢化や2024年問題などでも問題視されており、補助金などの施策を通して国として生産性向上が求められている状況である。つまり、いずれもとても重要な課題である。そして、これら課題において「協力して支援できる体制が整っていない」ということをこの結果が示唆している。

支援機関単独ではそれら支援には限界がある

 あくまで現状ではあるが、支援機関単独で見た場合に対応課題の範囲は以下の通りである。

(引用)「中小企業白書2024」(中小企業庁)

 ここからも、赤枠で示した「脱炭素化・GX]や「海外展開」や「価格転嫁」といった部分の支援が、どの支援機関においても整っていない状況がわかる。

今後の打ち手

 そうした中で、求められる施策は何だろうか。考えられるものとしては以下が挙げられる。

 ①.各支援機関での育成強化
 ②.産学官での連携

①.各支援機関での育成強化

 ①については、私のような中小企業診断士として、対応の幅を広げるべく自己研鑽を行い少しづつ企業への提案事例を作っていく方法がある。支援機関という組織であれば、その中でタスクフォースなどを立ち上げることでもよい。また、それを国が教育や資格などといったスキームとして用意する形も望ましい。中小企業診断協会のマスターコースとして注力テーマとして取り上げるのも手としてある。

②.産学官での連携

 今回の調査報告はあくまで公的の支援機関同士での連携にフォーカスした結果という認識である。

つまり、教育機関や民間企業などとの連携については考慮されていない。
したがって、今後は教育機関や民間の研究企業と連携することで、ニーズを保有している企業との橋渡しやコーディネートを強化することで、対応力を高めていくという形が目指す方向性として考えられる。

産学官での可能性

 たまたま本日下記のコンテストの動画を見た。

※「第5回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2024」
 https://dcon.ai/news/20240330001/

 ぜひ見ていただきたいのだが、6時間近くある動画なので解説をしてしまうが、高専生がAIを用いたビジネスの企画をプレゼンを行うコンテストである。ここで各学校が取り上げたテーマはまさにGXや人手不足への解消といった社会問題への対応といった内容が多かった。

(引用)「第5回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2024」(DCON)

 上記は、今回のコンテストのスキームであるが、まさに、産×学×官という構図であり、今後の可能性を感じさせる内容だったと非常に感銘を受けた。

 一方、今回の出資者は民間の企業が投資できるかどうかを判断するようなコンテストであった。国からも多少補助はあるかもしれないが、基本的には民間企業が事業性を考慮し出資できるかどうかという趣旨である。したがって、国(デジタル庁や経産省)が出資するという前提ではない。ある意味それは、診断士などの「国が公認した」士業は専門性が無いので、IT等に特化した民間の力を借りないとドライブできないという裏返しにも思えた。

 中小企業診断士などの支援機関がそこにどのように関われるのか、上記図の「メンター」や「ジャッジ」を行う際に担えるのかといったら難しいだろう。つまりそういうことなのである。支援機関にそこまでの専門性は無いということがネックとなる。

 上記は高専におけるスタートアップに対する審査を例に挙げたが、国が実施している補助金審査においては既存企業の事業性を評価する形になるが、そこにおいても同様に「メンター」や「ジャッジ」といった概念は必要となる。そして、そこでも専門的な知見が必要となってくる。すくなくとも「ジャッジ」の部分は日本全体のことを考えた場合、専門性を持つ民間に頼る方が実はよいのではないか、そんな風にも思えてきた。

 以上から、補助金申請におけるGXや生産性向上といった部分において、支援機関がどのように関わるべきかという点から議論が必要であることが見えてきた気がする。その解は産学官を含めた中で検討される必要があるだろう。

以上

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onda.masashi@gmail.com

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