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 昨今、生成AIの話は常にニュースで聞かれるようになった。
以下、5/22(水)に執り行われた内閣府のAI戦略会議の第9回で議題となった内容である。

https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_senryaku/9kai/9kai.html

ここでの話は、日本国におけるAIの最上位レイヤーに位置づけられる有識者間で話されている内容である。
まさに、日本としてのAIとしての現状と今後の方向性を検討されている最前線の話でもある。

日本のAIの現状

 この中で松尾教授による提示内容にフォーカスして話をしたいと思う。こちらの資料である。

https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_senryaku/9kai/shiryo1-4.pdf

 日本の経常収支のマイナスの原因となっているサービス収支のマイナスは、以前の記事でも取り上げたとおり、米国の大手テック企業を中心とした事業の中で日本は後塵を拝しているためである。

 そのような中、日本についてはスタートこそ遅れたが、さらに遅れが広がらないよう最善手を打ち続ける必要があり、それを政府とともに実現できているという認識のようである。そして、今後はそれをさらに加速させ反転攻勢を仕掛けたいという方向性は見て取れる。

日本のAIの可能性

 以下は日本におけるAIの可能性について言及されたスライドである。

(引用)「生成AIの産業における可能性」(東京大学 松尾研究室)

 いくつかポジティブな理由が挙がっている。
特に着目いただきたいのは、「失業等の懸念が大きい他国と比較すると、日本は高齢化しており、AI活用が待ったなしである」という一文である。

 ここに日本がAIをけん引できるのではないかという可能性を秘めているという理由であり、まさに「必要は発明の母」という言葉にも通ずる。

次の資料からは、日本の伸びしろが見て取れる。注目するのは、縦軸の幅の広さである。
これは、AIによるDX化を実現できる企業数の数を表している。日本は中小企業の数が99.7%で労働者は約7割を占めるため、中小企業を中心に適用できる企業のすそ野は広いという状況である。


産業別のAIの発展の期待

 この資料では、以下の産業別に特化したAI(LLM)の可能性について示唆が示されている。

・医療LLM
・ロボット×生成AI
・リーガルLLM
・製造LLM
・行政での生成AI
・防衛×生成AI
・金融×生成AI
・コンテンツ×生成AI
・メディア×生成AI
・電力×生成AI
・半導体×生成AI

 日本としてこれら生産性の向上がより求められる産業に対し、その産業に特化したLLM(大規模言語モデル)を生成することで、生産性向上技術の開発速度を高め効果の最大化を図ることにつながる。また、それを確立することで海外や発展途上国への輸出という形にもつながる。なお、国内半導体製造企業であるラピダスでは、産業ごとに特化した国産半導体を製造する方針である。そういったハード面と協業することでその効果をさらに高め、国内AIの差別化を加速させることも、見据えていると思っている。

対内直接投資への貢献

 以前から取り上げている通り、日本の経常収支のマイナス要因であるサービス収支のマイナスの要因であるデジタル関連のマイナスについては、最近もニュースで大きく取り上げられつつあるため、国内でも問題意識が高まりつつある。

 一方、海外から日本への資本の投入という面で「対内直接投資」も増えているのも事実である。
以前取り上げた、データセンターが日本で増加している件もそうだし、今回のAIについてもsakana AIなどを筆頭に海外から日本での事業へ投資する風潮が強まっている。円安という面も大きく影響はしているが、前述した日本におけるAIなどのデジタル投資への可能性を考慮しての動機の方が高いと考えられる。

 これにより、日本国内での雇用の創出やイノベーションの機運が高まり、人材の競争により賃金の更なる高騰やGDPの向上といった点で寄与する可能性がある。ただ、それに伴い、外国人労働力など現在の労働力不足を補う施策とセットで考える必要はある。

中小企業を含めた生産性向上

 日本でのAI興隆の機運が高まっているという点は理解できた。
ただ、その中で、冒頭のスライドで気になる文言がある。それは、大手中心に内部留保が高まり、AIへの投資できる素地ができてきたため、AIの開発が加速できるのではないかということである。

 そこで提言しないとならないのは、優先度ということである。
以前から述べているように、大手が円安で得た収益はまずは下請けの価格高騰への受注価格への転嫁を行うのが先である。それは当然である。AIによる生産性向上という今後の改善への投資の前に、正当に仕入れ価格の高騰分を反映するのはむしろ責務である。よって、その順番を見失わないように喚起したいとともに、それを政府主導でコントロールいただきたい。

中小へのAI普及

 中小企業がAIにおける恩恵を受けて、自ら生産性を高める上で何ができるのか。
自分たちでビッグデータを集約し学習モデルを生成しAPI化し適用するというにはハードルが高すぎるだろう。
そういった意味では、やはり大企業がカギを握ることになる。

 上記でも述べた通り、利益の恩恵を受けているのは大企業である。その企業がサプライチェーンのなかで下請けも含めてAIによる効率化の恩恵を川下へ無償で提供するような形が理想であろう。つまり、下請けに対し利用料の収益を期待するようなビジネスモデルは不正解である。

 そこは大手の大企業は自分たちの利益を優先するような考え方が出てしまうと、他の多く国内企業の生産性向上を減速させることにつながるため、日本全体を考えた場合は得策ではない。

 1企業がそこまで国のことを思って行動はしないので、その部分を政府がオーガナイズしないとならない。
日産が良い事例ではないか。日本全体を考えた場合、下請けの中小企業への賃上げを加速させることが国益につながるのに、自分たちの利益の事しか考えていないので下請けたたきを容認しているのである。他の企業も基本的に同じだと思っていた方がよい。

これは企業の構造上、下請けは法人格が別であるため、損益や財務管理が分かれているため仕方がない。
本来は下請け企業含めてサプライチェーンの川上から川下まで含めてグループ会社のように連結して評価する仕組みであれば「運命共同体」という考え方でそういったことは起きないが、法人が分かれている以上それは難しい。

そうすると、政府主導で良策を考えるしかない。
それはそれでお願いしたいが、一方でスタートアップによる新しいイノベーションも期待されるので、うまく補助金などで支援をする部分も継続いただきたい。私も今後企業支援をするうえで、ぜひともそういった企業に巡り合いたいものである。ちなみに私がLLMを開発するという手もある。


以上

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onda.masashi@gmail.com

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