もはや避けて通れないAIの需要予測って何?
こんにちは、こんばんは。お久しぶりです。
今日は、AIについて触れてみます。テーマとしては「AI需要予測」についてお話しします。
「AI需要予測」という言葉を聞くと、難しそうに感じるかもしれません。
でも、心配はいりません。AI需要予測の概念と、いかにビジネスに役立つかをご理解いただけると思います。
1. AI需要予測って何? 簡単に言うと…
AI需要予測とは、簡単に言えば「過去のデータを使って、AIが将来の売れ行きなどを予想すること」です。
※厳密には過去のデータだけではありませんが、過去データがベースとなります。
例えば、あなたがスーパーを経営しているとしましょう。来月のアイスクリームの売上数を予想したいとき、AIを使えば過去の売上データ(いつ、どのアイスが、何個売れたか)を分析して、来月の売上数を予測してくれるんです。
そうすると、来月のメーカーへの発注数を事前に予測して発注できますよね。
昔はこうした予測を経験や勘に頼っていましたが、AIを使うことでより正確に実施できます。人間には処理しきれないような大量のデータから、AIを用いることで簡単に実現できてしまうんです。
2. なぜAI需要予測が必要なの?
ビジネスの世界は日々変化しています。消費者の好みや行動パターンは複雑化し、市場環境も刻々と変わっていきます。そんな中で、従来の経験や勘だけに頼った予測では、もはや太刀打ちできません。
特に今や日本は少子高齢化社会であり今後もそれは加速していきます。その中で人手不足はさらに加速するため、生産性向上といったイノベーションが企業に求められます。その解として、AIの活用が求められます。
例えば、AI需要予測を導入することで、以下のようなメリットが得られます:
- 在庫の最適化: 必要な量だけ在庫を持つことで、無駄なコストを削減できます。
- 売上の向上 : 需要に合わせた商品展開や価格設定ができ、売上アップにつながります。
- 顧客満足度の向上: 品切れを減らすことで、機会損失を減らし顧客の信頼を維持できます。
- 経営判断の精度向上: 販売予測ができれば収益の予測もできます。その結果、将来の経営予測や投資に向けた意思決定が早期にできるようになります。
3. AI需要予測はどうやって行うの?
では、AI需要予測は、具体的にどうやって行うのでしょう。
恐らくイメージができない方も多いかと思います。AIというと敷居が高くブラックボックス化されているという風に思われている方も多いかもしれませんので、簡単にお伝えしようと思います。
冒頭にも書きましたが、AIによる予測は、「過去の推移などから法則を見つけ統計的に予測する」ということです。
そして、それを行うためには、以下の7つのステップで行われます。

- ①.データ集め:
まずは過去の売上データを集めます。これは、小売り業であればPOSデータそのものとなります。その際、売上金額だけでなく、日付、商品情報、価格など、関連する情報も集めます。 - ②.データの整理:
集めたデータにミスがないかチェックします。例えば、日付の形式が統一されているか、異常な数値がないかなどを確認し、データをきれいにします(データクレンジングと言います)。 - ③.特徴の抽出:
データから、売上に影響しそうな要素(季節、曜日、天気など)を見つけ出します。データとして存在しない場合は新たに生み出したり、付加したりします。これを「特徴量エンジニアリング」と呼びますが、AIの精度を左右する重要なステップです。 - ④.データ分割:
集めたデータを、AIの学習用(訓練データ)と精度チェック用(評価データ)に分けます。この目的は、評価データを正解データとしてこの後のモデル作成の精度向上を図るための前処理となります。 - ⑤.AIモデルの作成:
集めたデータを使って、AIに売上パターンを学習させます。モデルとは予測をするためのプログラムと考えていただいて支障ありません。なお、Pythonというプログラミング言語にすでに統計のアルゴリズムが用意されておりますので、それを使ってモデルが作成されます。 - ⑥.精度チェック:
作ったAIモデルが正確に予測できているかを確認します。この際、④でデータ分割した評価データを使用しモデルが予測した結果と、正解である評価データとの差異を評価し精度を判定します。 - ⑦.未来予測:
予測したい将来の期間を指定し、完成したAIモデルを使用することで、売上等の予測値を算出します。
なお、上記の7ステップは、実際はプログラミングにより実行されます。
現在はPythonというプログラミング言語を使うことで、簡単に実装することができます。
また、そのプログラミング自体も現在はChatGPTのような生成AIで記述することができますので、敷居がかなり下がってきております(そのあたりの記述方法は、もしリクエストがあれば記事にしたいと思います)。
4. 特徴量エンジニアリングの重要性
前述の7つのステップのうち「③.特徴の抽出」で出てきた「特徴量エンジニアリング」についてもう少し触れてみたいと思います。特徴量エンジニアリングは、AI需要予測の成功を左右する重要なプロセスです。これは、「売上に影響を与える要素」(特徴量)を見つけ出し、AIに学習させる作業のことです。
(1) 特徴量の例
例えば、冒頭のスーパーの場合、以下のような特徴量が考えられます:
- 曜日(平日か休日か)
- 季節(夏は特にアイスが人気など)
- イベント(クリスマス、バレンタインデーなど)
- 天候(雨の日は来店者が減るなど)
- 近隣の競合店の動向
…etc.
下記のイメージを見ていただくとわかりますが、元のデータに対しこれら特徴となるデータを付加することで準備します。
(2) 特徴量による効果
特徴量を付加することで何が良くなるのでしょうか。もう少しわかりやすいイメージとして下記をご覧ください。これが需要予測AIの予測を可視化したグラフとなります。
グラフの見方ですが、「Y軸が予測する値(売上など)」を指します。一方、「X軸が与える値(=特徴量)」を表してます。そして、「赤い点線が予測された値」となります。つまり、このグラフでは、「X軸の値が決まればY軸の値が決定する」ことを表しています。
このX軸にあたる部分が特徴量となります。このX軸の中に例えば「商品、店舗、価格」などが含まれていると考えてください。特徴量エンジニアリング前はX軸に含まれる要素の数が少ない状態ですが、エンジニアリング後はX軸に含まれる要素が増加することで、点線の傾きが変わり赤い点で表されれる予測との乖離する予測データが少なくなっていることが見て取れます。
したがって、これらの特徴量を適切に選び、AIに学習させることで、より精度の高い予測が可能になります。
この特徴量をうまく選定することで、あらゆる条件や傾向に汎用的に対応できるモデルが生成できることにつながります。
一方で、特徴量が多ければよい訳ではなく、多すぎると対応する条件が分散してしまい(お互い影響を及ぼしてしまい)精度が悪くなることも起きますし、逆に少なすぎるとマッチする条件が足りずに同じく精度が出ないという結果にもなります。
尚、特徴量エンジニアリングは奥が深いので、下記のサイトなども参考となりますのでご覧いただければと思います。
■参考:改めて「特徴量エンジニアリング」とは何か?(Qiita)
https://qiita.com/tamura__246/items/59b2475972a60ba1d65b
5. AI需要予測の具体的な活用例
上記ではスーパーなど小売を中心とした需要予測でのケースを想定して述べましたが、他にも様々な業界で活用されています。いくつか具体例を見てみましょう。ご自身が関わっている企業に当てはめて、どのように適用できるか考えてみると面白いと思います。
小売業での活用例
| 1.在庫管理の最適化: | ・商品ごとの需要を予測し、適切な在庫量を維持 ・季節商品の仕入れ時期と量の最適化 |
| 2.価格設定の最適化 | ・需要予測に基づいた動的な価格設定 ・セール時期と割引率の最適化 |
| 3.店舗レイアウトの改善 | ・需要予測に基づいた商品配置の最適化 ・人気商品の動線設計 |
製造業での活用例
| 1.生産計画の最適化: | ・需要予測に基づいた生産量の調整 ・原材料の適切な発注タイミングと量の決定 |
| 2.設備メンテナンスの最適化: | ・生産量予測に基づいた計画的なメンテナンス実施 ・部品の事前発注による稼働率の向上 |
| 3.新製品開発: | ・市場トレンドの予測による新製品企画 ・需要予測に基づいた初期生産量の決定 |
サービス業での活用例
| 1.人員配置の最適化: | ・来客数予測に基づいた適切なシフト設定 ・繁忙期に向けたスタッフの採用・教育計画 |
| 2.メニュー開発: | ・季節や天候に応じた人気メニューの予測 ・食材の無駄を減らすための仕入れ量最適化 |
| 3.マーケティング施策の最適化: | ・需要予測に基づいたターゲティング広告の実施 ・効果的なタイミングでのキャンペーン実施 |
6. AI需要予測導入のステップ
では、実際にAI需要予測を導入するには、どうすればいいのでしょうか?以下に、基本的なステップを紹介します。
主に6つのステップに分けて実施します。
- 目的の明確化:
・なぜAI需要予測を導入したいのか、具体的な目標を設定します。
例:在庫コストを20%削減、売上を15%向上など - データの収集と整理:
・過去の売上データや関連する情報を集めます。
・データの形式を統一し、エラーを修正します。 - AI専門家との連携:
・社内にAI専門家がいない場合は、外部の専門家やコンサルタントと連携します。
・自社のビジネスに適したAIモデルの選定や開発を依頼します。 - システムの構築:
・AIモデルを実行するためのシステムを構築します。
・既存の業務システムとの連携も考慮します。 - テスト運用:
・小規模なテスト運用を行い、予測精度や運用上の課題を確認します。 - 本格運用と継続的な改善:
・テスト結果を踏まえて本格運用を開始します。
・定期的に予測精度を確認し、必要に応じてモデルを調整します。
自身の企業に導入を考えておられる方は、「3. AI専門家との連携」から実施いただきトータルで対応を要請してもよいでしょう。また、規模が大きくなる場合は、最初に検証や見積もりのため簡易的なモデルを生成するという手もあります(いわゆるPoCと呼ぶステップです)。むしろ最近ではこのPoCを先に行ったうえで、費用対効果を見極めたうえで実施するケースが多いと思います。
7. AI需要予測導入の注意点
ここまでは、AI需要予測を行う上での概要と流れについて述べてきました。
AIは非常に有用なツールですが、導入にあたっては以下のような注意点もありますので、予め理解しておくことも必要です。

- データの質と量:
・予測精度はデータの質と量に大きく依存します。
・十分な量の正確なデータを準備することが重要です。 - 人間の判断との併用:
・AIの予測結果を鵜呑みにせず、人間の経験や直感と併せて判断することが大切です。 - 定期的な見直し:
・市場環境の変化に応じて、定期的にAIモデルを見直し、再学習させることが必要です。 - プライバシーとセキュリティ:
・顧客データを扱う場合は、プライバシー保護とセキュリティ対策に十分注意を払いましょう。 - コスト管理:
・導入コストだけでなく、運用や保守のコストも考慮に入れましょう。
最終的にはビジネスに効果をもたらすことが目的ですので、それを実現するための制約事項としてトータルで考慮して対応することが重要となります。
8. まとめ:AI需要予測で未来を拓く

AI需要予測は、中小企業の経営を大きく変革する可能性を秘めた技術です。適切に導入・活用することで、業務の効率化、コスト削減、売上向上、データに基づいた経営判断など、様々なメリットをもたらします。
確かに、新しい技術を導入することには不安もあるでしょう。しかし、ビジネス環境が急速に変化する今、この技術を活用しない手はありません。まずは小規模なテスト導入から始めてみてはいかがでしょうか。AI需要予測がもたらす可能性に、きっと驚かれることでしょう。
今や日本のGDPはOECDでも下位に位置づけられています。
次の日本の次期首相はまだ現時点ではわかりませんが、国としても少子高齢化社会に対しイノベーションを起こすような投資や補助金が今後も積極的に展開されることが期待されると思われます。前回の記事(下記)でも取り上げましたが、来期の経産省の予算化の中でも「中小企業へのデジタル化支援」に向けた投資が増加する見通しとなっています。つまり、間違いなく今回のような生産性向上に寄与するAI技術へのシフトが必要となってきます。
最後に、AI需要予測の導入にチャレンジする皆さまと支援する皆さまの成功を心よりお祈りしております。
VOICEVOX:ずんだもん
Images:
Artificial Intelligence, AI by mikemacmarketing, CC BY 2.0 (https://www.flickr.com/photos/152824664@N07/30188200627/)
Artificial Intelligence & AI & Machine Learning by mikemacmarketing, CC BY 2.0 (https://www.flickr.com/photos/152824664@N07/44405376514/)
以上
投稿者
onda.masashi@gmail.com